みなさんは「アンモナイト」という化石を見たことがあるでしょうか?渦巻き状の形をした生き物で、約4億年前から6,600万年前まで海で暮らしていました。ところが、今では化石でしか見ることができません。一方、アンモナイトの親戚にあたる「オウムガイ」という生き物が、今でも深い海で静かに生きています。

なぜアンモナイトは絶滅してしまい、オウムガイは生き残ったのでしょうか?この謎を解く鍵は、二つの生き物が暮らしていた「場所」と「生活スタイル」の違いにあります。

image

アンモナイトとオウムガイは親戚

アンモナイトとオウムガイは、どちらも「頭足類(とうそくるい)」という同じグループに属しています。頭足類とは、タコやイカと同じ仲間で、足のような腕をたくさん持つ生き物です。

アンモナイトは約4億年前に海に現れ、その後とても繁栄(はんえい)しました。最盛期(さいせいき)には、大きさが数メートルになる種類もいたほどです。渦巻き状の貝殻の中に体を隠して生活し、多くの種類に分かれて、浅い海から深い海まで、様々な場所に広がっていました。

一方、オウムガイは今から約5億年前に海に現れました。アンモナイトとは別の系統(けいとう)から進化、貝殻を持つという共通点はありますが、別の道を歩んでいったのです。オウムガイは、アンモナイトほど多くの種類に分かれず、ひっそりと深い海で生活してきました。

このように、同じ祖先(そせん)から分かれた二つの生き物も、時間とともに異なる進化の道をたどっていったのです。

image

浅い海で栄えたアンモナイトが絶滅した理由

約6,600万年前のこと。大きな隕石(いんせき)が地球に衝突(しょうとつ)しました。この出来事は、地球上の生き物に大きな環境の変化をもたらしました。

隕石が衝突した影響で、巨大な津波(つなみ)が起こり、浅い海の環境は大きく変わりました。さらに、衝突の衝撃でたくさんのチリが空に舞い上がり、太陽の光を届かなくしてしまいました。太陽が隠れると、気温が急に下がり、海も冷えてしまいます。

海が冷えると、アンモナイトの食べ物となる小さな生き物たちが減ってしまいます。さらに水温の変化は、アンモナイトが産卵(さんらん)する場所の環境も大きく変えてしまいました。

アンモナイトの多くの仲間は、浅い海で生活していました。そのため、この急激な環境激変に対応することができず、次々と絶滅していきました。この時期の大量絶滅では、恐竜(きょうりゅう)を含む地球上の生き物の約75%が姿を消しました。アンモナイトたちも、その波に飲み込まれてしまったのです。

image

深い海に逃げたオウムガイの生き残り戦略

では、オウムガイはなぜ生き残ることができたのでしょうか?

最も大きな理由は、オウムガイが深い海に暮らしていたということです。隕石の衝突で浅い海の環境が大きく変わっても、深い海はあまり環境が変わらなかったのです。深い海は温度が安定していて、津波の影響も届きにくいのです。

さらに、オウムガイは海底で生活する小さなエビやカニなど様々な食べ物を食べていました。環境が変わって、好物の食べ物がいなくなっても、別の食べ物で生き延びることができたのです。

そして、もう一つ重要な特徴があります。オウムガイは、繁殖(はんしょく)のペースが遅い生き物です。子どもを産むのに長い時間をかけるので、数は増えにくいのです。これは不利なように思えますが、隕石衝突後の餌が少な深い海の中では「少ない数で細く長く生きる」戦略で生き残ることができました。

つまり、アンモナイトは浅い海で大繁栄できるような進化をしていたために、その環境が変わると、対応できなかったのです。一方、オウムガイは、深い海という限られた世界で、ゆっくりと着実に進化してきたため、大きな環境変化にも耐えることができたのです。

image

「生きた化石」オウムガイの今

オウムガイは、今でも深い海で静かに生きています。約5億年前の姿をほぼ変えずに、現代まで生き残ってきたため、「生きた化石」と呼ばれることもあります。

しかし最近、オウムガイも危機(きき)が迫っています。人間が深い海で魚を取る時に、誤ってオウムガイが取られてしまったり、オウムガイの殻が売られたりしているのです。また、海の温暖化も、深い海の環境を少しずつ変えようとしています。

アンモナイトは、かつて大繁栄していた生き物です。しかし、環境の急激な変化に適応できずに絶滅してしまいました。一方、オウムガイは、変化に強い生き方を選ぶことで、6,600万年以上も生き残ってきたのです。

今、私たちが暮らす地球も、気候変動(きこうへんどう)など大きな環境変化に直面しています。アンモナイトとオウムガイの物語は、変化する環境の中で、いかに柔軟に対応するかが、生き物の運命を大きく左右することを教えてくれているのです。

探LabSHOP

ミニアンモナイト発掘キット

詳しく見る