ブラキオサウルスはどんな恐竜だった?
ブラキオサウルスは、今からおよそ1億5000万年前、ジュラ紀という時代に生きていた、巨大な竜脚類の一種です。体の長さは25メートルを超えることもあり、これは学校の25mプールとほぼ同じ長さです。体重は30~40トン程度だったと考えられています。その巨大さをイメージするなら、象7頭分くらいの重さです。
ブラキオサウルスは「竜脚類」という恐竜グループに属しており、特徴は長い首と4本の太い足です。このような巨体を支えるために、骨や筋肉、内臓なども体に合わせて大きく発達していました。そしてその中でも、注目すべきは心臓です。こんな巨体全体に血液を送るには、どれくらい大きな心臓が必要だったのでしょうか?

心臓の大きさはどう推定する?
ここで大きな問題が生じます。ブラキオサウルスの化石が見つかっても、心臓そのものは化石として残っていないのです。なぜなら、心臓は柔らかい臓器で、動物が死んだあと、すぐに分解されてしまうからです。骨のような硬い部分だけが化石になりやすいんですね。
では、科学者たちはどうやって心臓の大きさを調べるのでしょうか?答えは、現代の巨大な動物たちを参考にすることです。象やクジラなど、今生きている大型の動物の心臓と体の大きさの関係を調べると、ある法則が見えてきます。一般的に、心臓の大きさは体の大きさとある程度の関係があることが知られています。
こうした比較研究から、科学者たちはブラキオサウルスの心臓の重さを推定しました。体重38トンほどのブラキオサウルスをもとにした推定では、心臓は約200キログラムだった可能性があります。それでも、人間の心臓(300グラムほど)の600倍近い重さです。

象やクジラと比べるとどう違う?
ブラキオサウルスの心臓がどれくらい大きいのか、実感するには、現代の巨大動物と比べるのが一番です。
象の心臓は約12キログラムです。象だって、陸上の動物の中では最大級ですが、ブラキオサウルスの心臓はその約20倍ほども大きい計算になります。もしブラキオサウルスの心臓を取り出したら、象の心臓よりもずっと大きかったかもしれません。
シロナガスクジラという、地球上で最も大きい動物の心臓は約180〜200キログラム(約400ポンド)あります。「え、クジラの方が大きくない?」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。シロナガスクジラの体重は100~150トンほどで、ブラキオサウルスよりも重い場合が多いからです。推定値では、ブラキオサウルスは体の大きさに対して比較的大きな心臓を持っていた可能性があります。
なぜそんなに大きな心臓が必要だった?
ブラキオサウルスの心臓がこんなに巨大だった理由は、シンプルです。それは、ものすごく大きな体全体に血液を送り届ける必要があったからです。
心臓の役割は、血液を全身に送るポンプです。体が大きければ大きいほど、より強い力で、より多くの血液を遠くまで送らなくてはなりません。特に、ブラキオサウルスは長い首を持っていました。高い位置にある頭まで血液を送るには、大きな血圧や効率のよい循環のしくみが必要だったと考えられています。もし十分な血液を脳まで送れなければ、ブラキオサウルスは生き続けることはできなかったでしょう。
科学者たちは、ブラキオサウルスがこんな巨体を支えるために、心臓だけでなく血管も特別な構造を持っていたと考えています。詳しいしくみは分かっていませんが、高い血圧に耐えられる血管や循環のしくみを持っていた可能性があると考えられています。
今から約1億5000万年前、ブラキオサウルスのような巨大な竜脚類は、大きな体を支えるためのさまざまな体のしくみを進化させていたと考えられています。その秘密は、自分たちの体を支えるために進化した、見えない工夫の中に隠れていたんですね。