ダイオウグソクムシってどんな生き物?
ダイオウグソクムシは、海の深い底に住む不思議な生き物です。体の長さは20から40センチメートルで最大50cmにもなる、とても大きな節足動物です。
見た目は、ダンゴムシのような感じで、たくさんの足があります。実は、ダンゴムシやワラジムシと同じ「等脚目」に属しています。しかし、それらより、ずっとずっと大きいです。もし深海で見かけたら、びっくりするほど大きいと思います。 ダイオウグソクムシは、メキシコ湾や西大西洋、インド洋北部などの深海(水深200mほどから、深いところでは2000mを超える場所まで)の海底に棲んでいます。

なにも食べずに5年間も生きられる!?
ダイオウグソクムシには、約5年間もの間絶食していても生きていた個体がいた記録があります。こんなにも長期間絶食をしても生きられるのは、ダイオウグソクムシの身体に特別な工夫があるからです。一番大切なポイントは、「体の活動をとても遅くしている」ことです。
ダイオウグソクムシは、生命活動をするうえで必要となる「代謝」を極限まで遅く、かつ低レベルにする事で、少ない栄養でより長く生きられるように進化したと考えられています。
深海はごはんが少ない世界
ダイオウグソクムシが住む深海は、そもそも餌が少ないです。では、どうして食べ物が少ないのでしょうか。
海の表面では、太陽の光が届くので、たくさんの植物プランクトンなどの微生物が育ちます。魚たちもたくさんいます。ですので、生き物がいっぱいいますから、食べるものに困りません。でも、深海は別です。太陽の光はほぼ届きません。だから、植物プランクトンが育たず、それを餌とする生き物たちも少ないです。ですから必然的に、深海には生き物が少ないのです。

深海の生き物の多くは、「海の上から落ちてくるもの」を頼りに生きています。植物プランクトンの死がいやフンなど、細かい粒がゆっくり沈んでいくものは「マリンスノー」と呼ばれ、多くの小さな深海生物の栄養源になっています。でも、ダイオウグソクムシが主に食べているのはこれとは別のものです。海の上のほうで死んだ魚やクジラなど、大きな生き物の死がいが海底まで沈んでくると、ダイオウグソクムシはそれを見つけて食べます。まさに「深海の掃除屋」です。まとまった死がいが落ちてくるのは、何年かに一度あるかないかのチャンスです。
マリンスノーも、大きな死がいも、海の表層からすぐに届くわけではありません。時には何週間もかけてゆっくり沈んでくるうえ、まっすぐ落ちてくるわけではなく、海流や風の影響でさまざまな経路をたどります。つまり、深海の生物は、食べ物がいつ、どれくらいの量届くか分からない世界で生活しているのです。 そのため、ダイオウグソクムシは「いつ食べ物が来るか分からない」という環境に適応して、一度にたくさん食べて長い間その栄養で生きられる体になったと考えられています。

ダイオウグソクムシの「節約生活」の工夫!
ダイオウグソクムシが長いあいだ食べずにいられるのは、生きるのに必要なエネルギーを上手に「節約」できているからです。どんな工夫をしているのでしょうか。
その1:あまり動かない。 深海の海底でじっとしていることが多く、動き回ってエネルギーを使いません。
その2:まわりがとても冷たい。 深海の水温は数℃ほど。体温が低い生き物は、体のはたらきもゆっくりになり、その分エネルギーの消費も少なくなります。
その3:チャンスが来たら一気に食べる。 死がいを見つけると、おなかがふくれるほど食べて、その栄養を長い時間かけて少しずつ使います。
ダイオウグソクムシは、見た目は不気味かもしれませんが、深海での生き残り戦略は本当に素晴らしいと言えます。深海の世界を、これからも私たちと一緒に探求していきましょう。