最大級の肉食恐竜について聞かれたら、多くの研究者が名前を挙げるのが『スピノサウルス』です。ティラノサウルス・レックスより大きく、背中に帆のような巨大な突起を持つこの恐竜は、約1億年前の地球に実在しました。今回は、巨大な肉食恐竜の秘密に迫ってみましょう。

スピノサウルスはどんな恐竜?

スピノサウルスは、約1億年前から9400万年前ごろ、白亜紀の中ごろに生きていた恐竜です。全長は最大で約14mと推定され、体重は7~9トンほどと考えられています。ただし、どちらも研究によって推定値が異なります。

この恐竜の最大の特徴は、背中にそびえ立つ帆状の突起です。脊椎骨から直立した長い骨(神経棘)が、布を張ったような形になっていました。この帆は背中から約1.6~1.7メートルほど高く伸びていたと考えられています。

スピノサウルスのもう一つの大きな特徴は、その生活スタイルです。多くの肉食恐竜は陸の上で狩りをしていましたが、スピノサウルスは水中でも狩りをしていたと考えられています。上あごと下あごが長く、ワニのような形をしていて、水中で魚を捕まえるのに適していました。

スピノサウルスの再現イラスト

スピノサウルスが食べていたもの

スピノサウルスは水辺で暮らし、主に大きな魚を食べていました。さらに、当時の川や湖には大型の魚がたくさんいたと考えられており、これはスピノサウルスが水辺で暮らせた理由の一つと考えられています。スピノサウルスは体の長さではティラノサウルスを上回っていたとされますが、体の大きさ(体重)を含めてどちらが本当に「大きい」かについては、今も研究者の間で議論が続いています。

背中の帆の謎

スピノサウルスの背中にある帆は、本当に不思議な存在です。「何のためにあったのか」という疑問は、古い時代からずっと続いています。

帆の役割については、研究者の間でもまだ意見が分かれていて、いくつかの説が唱えられています。そのひとつが「ディスプレイ(見せびらかし)」説です。オスがメスに自分の強さや健康さをアピールするために、帆を立てて見せていたという考え方です。孔雀のオスが羽を広げるのと同じように、スピノサウルスのオスも帆を使って目立とうとしていたのかもしれません。

別の説では、帆は体温調節に使われていたと考えられています。表面積が大きい帆なら、太陽の熱を効率よく吸収したり、逆に熱を逃がしたりできます。爬虫類にとって、体温を保つことは生きるために重要なことであり、これも有力な説の一つです。

スピノサウルスの再現イラスト

「最大」ってどう決まるの?

「スピノサウルスが最大の肉食恐竜」と言い切るのは、実はちょっと難しいのです。なぜなら、恐竜の大きさを知る方法は、化石から推測することだけだからです。

化石の研究者たちは、骨の大きさから全身の大きさを計算します。例えば、太ももの骨(大腿骨)の長さが分かれば、その比率を使って全長を推測することができます。また、骨の厚さから体重を計算することもできます。

しかし、問題があります。見つかる化石は完全ではないことが多いのです。頭部しか見つからなかったり、背骨の一部だけだったりします。このため、研究者たちは他の化石との比較や、現在の動物の体の比率などを参考にして、推測で大きさを計算しているのです。

「最大」の判断は、どんなデータを重視するかによって変わってくるのです。全長で比べるのか、体重で比べるのか、あるいは食べ物の種類で分類するのか。これらの基準によって、「最大の肉食恐竜」は変わることもあるのです。

恐竜の大きさは変わる?

みなさんが習う理科の教科書には、恐竜の情報が書かれています。でも、10年前の教科書と今の教科書を比べてみてください。恐竜の大きさや特徴が違っていることがあります。

これは、恐竜の研究が進んでいるからです。毎年、新しい化石が発見されたり、昔の化石が再調査されたりします。すると、昔の推測が間違っていたことに気づくことがあるのです。

例えば、スピノサウルスは水辺でくらし、水中でも活動していたと考えられるようになりましたが、昔は陸の上で歩く肉食恐竜だと考えられていたのです。また、大きさの推測も研究が進むにつれて変わっています。

科学は、新しい発見によって常に進化しています。もしかしたら、みなさんが大人になるころには、もっと大きな肉食恐竜が発見されているかもしれません。未来の恐竜学者は、みなさんの中にいるかもしれませんね。

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