アンモナイトの化石は、くるくると渦を巻いた形が特徴的で、博物館や化石の標本でもよく見かける存在です。実はアンモナイトの仲間には、大人が両手を広げても収まらないほど巨大な種類がいた一方で、小指の先ほどしかない種類もいました。今回は、これまでに見つかっている中で最大級のアンモナイトと最小級のアンモナイトを比べながら、その違いがどこから生まれたのかを見ていきます。

世界最大のアンモナイト「パラプゾシア・セッペンラデンシス」
現在知られているアンモナイトの中でも最大級とされているのが、パラプゾシア・セッペンラデンシスという種類です。1895年、ドイツ西部のヴェストファーレン地方で化石が発見されました。
見つかった化石は殻の一部が欠けた不完全な状態でしたが、それでも直径は1.8メートルありました。研究者たちは、欠けている部分をあわせた完全な殻の直径をおよそ2メートルと見積もっています。最新の研究では、直径は2メートルほど、体重は1500キログラムくらいだったと考えられています。人がすっぽり収まってしまうサイズです。
この巨大なアンモナイトが生きていたのは、白亜紀後期、今からおよそ8000万年前の海です。発見された化石は、ドイツのヴェストファーレン自然史博物館に保管されています。
実は1センチほどしかない『マキシマイツ』という仲間
一方で、アンモナイトの仲間には驚くほど小さな種類もいました。石炭紀後期、今からおよそ3億年前の北アメリカの海に生きていたマキシマイツというグループは、大人になった状態でも殻の直径がわずか1センチほどしかありません。これは、知られているアンモナイトの仲間の中でも最も小さい部類にあたります。
さらに言うと、アンモナイトは種類にかかわらず、生まれたばかりのときの殻はどれもとても小さく、1ミリに満たないほどです。パラプゾシアのような巨大な種類も、生まれたばかりの殻は1ミリにも満たないほどで、マキシマイツの成体よりさらに小さな姿から成長を始めました。育つ過程でどこまで大きくなるかが種類ごとに大きく違っていた、ということになります。

同じアンモナイトなのに、なぜここまで大きさが違うのか
アンモナイトは、およそ3億5000万年という長い期間、姿を変えながら世界中の海で暮らしていました。その間に1万種以上が生まれたと言われており、住んでいた海の深さや食べていたもの、天敵の存在などが種類ごとに異なっていたと考えられています。
大きな殻は、天敵に襲われにくくなったり、一度に多くの卵を作れたりするなどの利点があった可能性が考えられています。一方で、大きな殻が泳ぐ能力にどのような影響を与えたのかについては、現在も研究が続いています。反対に小さな体は、少ない資源でも成長しやすく、比較的短い期間で成熟できた可能性が考えられています。研究者の間でも、なぜここまで極端なサイズの差が生まれたのかは、まだ議論が続いているテーマです。同じ「アンモナイト」という呼び名でくくられていても、その中身は驚くほど多様だったのです。
化石発掘キットで、実際の大きさを手にとって確かめる

探Labの化石発掘キットで実際に掘り出せるアンモナイトの化石は、だいたい数センチほどの大きさです。
数字で「2メートル」「1センチ」と聞くだけではぴんとこなくても、自分の手で化石を掘り出し、実際の大きさを目や手で確かめてみると、その差の大きさが一気に実感できるはずです。ぜひ発掘体験を通じて、アンモナイトという生き物のスケールの広さに触れてみてください。
まとめ
同じアンモナイトという仲間でありながら、直径およそ2メートルのパラプゾシア・セッペンラデンシスと、わずか1センチほどのマキシマイツでは、殻の直径だけを比べると、およそ200倍もの差があります。長い年月をかけて世界中の海に広がったアンモナイトは、それぞれの環境に合わせて驚くほど多様な姿へと育っていきました。化石を通して、そんな生き物の奥深さを感じてもらえたらうれしいです。