モササウルスの化石はいつ発見された?名前の由来は?
白亜紀の海の王者モササウルス。その存在が科学の世界で初めて知られたのは、実は260年以上も前のことです。最初の化石発見には、意外なドラマが隠されています。

最初の化石は1764年に見つかった
モササウルスの化石として記録に残る最初の発見は、1764年のことです。オランダのマーストリヒトという街の近く、セント・ピーター山にある石灰岩の採石場で、頭の骨の一部が見つかりました。
この最初の標本は、その後、研究者たちによって詳しく調べられるようになります。
最初はワニやクジラの化石だと思われていた
発見された当初、この骨が海で暮らしていた大型の爬虫類の仲間だとは、まだ誰もわかっていませんでした。ワニの仲間、あるいはクジラのような生き物の化石だろうと考えられていたのです。
1778年には、同じ採石場で、ほぼ完全な頭骨を含む、より保存状態のよい標本が見つかりました。この2つ目の化石が、後の研究を大きく前進させることになります。

フランス革命の戦争に巻き込まれた化石
この2つ目の化石には、大きな事件が起こります。1794年、フランス軍がマーストリヒトの街を包囲し、占領しました。このとき、貴重な化石であるこの標本はフランス軍によって持ち去られ、1795年にパリの博物館へと運び込まれています。
戦争のさなかにもかかわらず、1つの化石をめぐってこれほどの出来事が起こったこと自体が、学者たちの間で大きな関心を集めていたことを物語っています。
「マース川のトカゲ」という名前の由来
この化石は、マース川の近くにある採石場で見つかりました。1822年、研究者ウィリアム・コニビアが、この生き物に正式な学名をつけます。それが「モササウルス(Mosasaurus)」です。
「Mosa(モサ)」はマース川のラテン語名、「サウルス」はギリシャ語で「トカゲ」を意味する言葉です。つまりモササウルスという名前は、「マース川のトカゲ」という意味を持っているのです。
「絶滅」という考え方を後押しした化石
1800年ごろ、オランダの研究者アドリアン・カンペルが、この化石を詳しく調べ、オオトカゲに近い仲間と考えられる大型の海の爬虫類だと考えました。1808年には、フランスの研究者ジョルジュ・キュヴィエも同じ結論にたどり着きます。
キュヴィエはモササウルスをはじめ、さまざまな化石を研究し、「生き物は絶滅することがある」という考え方を発展させました。モササウルスは、その考えを支えた代表的な化石の1つです。当時は「一度この世に生まれた生き物の種類が、地球上からすっかりいなくなることなどあるはずがない」と考える人も少なくない時代でした。モササウルスのような生き物が現在は見つからないことは、「絶滅」という考え方を受け入れる重要な証拠の1つとなりました。
1本の歯が、260年続く研究の続きに
探Labの発掘体験で手にするモササウルスの歯は、この260年以上前の発見から続く、化石研究の歴史の延長線上にあります。当時の学者たちが手がかりを1つずつ積み重ねて明らかにしてきたように、自分の手で発掘した歯をじっくり観察してみると、新しい発見があるかもしれません。

