手のひらで溶ける!不思議な金属ガリウム!
金属といえば、どのようなものを思い浮かべますか?おそらく、金や鉄やアルミニウム、銅などを思い浮かべる人が多いでしょう。これらの金属を溶かそうと思ったら、火などであたためて数百度、場合によっては千度を超える温度が必要になります。
ところが、ガリウムという金属は、そのようなことをする必要がありません。融点が約29.8℃という、人間の手のひらの温度よりも低い温度なのです。つまり、手のひらにのせるだけで、その金属は徐々に溶けていってしまうのです。
この不思議な性質のため、ガリウムはしばしば「手のひらで溶ける魔法の金属」と呼ばれ、科学の授業などで観察教材として使われています。室温(20~25℃)では固体ですが、温かい手に包まれると、まるで魔法のように液体に変わっていく様子は、本当に不思議です。
ガリウムは銀白色をした美しい金属です。ガリウムが温められ溶けると、金属の様に光沢のある銀色の液体になり、鏡のように光を反射する様子も観察の面白さの一つとなっているのです。

融点って何だろう?
融点について詳しく説明しましょう。融点とは、固体が液体に変わる時の温度のことです。 一般的な金属の融点を見てみましょう。
- 鉄:約1538℃
- アルミニウム:約660℃
- 銅:約1085℃
- 水銀:約-39℃
これを見ると、水銀だけ融点がとっても低い事が分かると思います。知ってる人もいるかとは思いますが、水銀は常温では液体です。実は、水銀は数少ない常温において液体である金属の一つです。
それでは、ガリウムはどうでしょうか。
- ガリウム:約29.8℃
水銀よりも融点が高く、手のひらの温度よりも低いというのが、ガリウムの特別な点です。

ガリウムのおもしろい性質!
ガリウムは「過冷却」という現象を起こしやすい金属でもあります。これは、融点よりも低い温度に冷やされても、すぐには固体に戻らず、液体のままの状態を保つという現象です。この過冷却状態になっているガリウムの液体は、振動を与えるとパチッと音を立てて突然固体に変わることもあります。
また、ガリウムをアルミニウムに乗せて時間を置くと、アルミニウムがボロボロになってしまう事があります。これは『液体金属脆化(ぜいか)』と呼ばれる現象で、液体になったガリウムがアルミニウムの中の小さな結晶のすき間(粒界)にしみこんでいき、結晶同士をくっつける力を弱めてしまうために起こります。

ガリウムはどこで活躍している?
ガリウムは、融点の低さという特性以上に、電子工学の分野で非常に重要な役割を果たしている元素です。
スマートフォンやパソコンの半導体
スマートフォンやパソコンに使われているチップには、ガリウムが含まれていることがあります。
LED(発光ダイオード)
LEDは、電流を流すと光る装置です。電球の代わりに、今ではスマートフォンの画面やテレビ、信号機、懐中電灯など、様々な場所でLEDが使われています。これらのLEDの多くに、ガリウムが使われているのです。
太陽電池
太陽エネルギーを電気に変える太陽電池の中にも、ガリウムが活躍しているものがあります。特に、宇宙衛星に使われる太陽電池には、シリコンではなく、ガリウムヒ素などのガリウムの化合物が使われています。これは、宇宙の放射線による劣化に強いためです。
このように、ガリウムは私たちが普段目にしない場所で活用されているのです。
世界には面白い物質が他にもたくさんある!
今日は、ガリウムという不思議な金属について、私たちと一緒に学んできました。他にはどのような不思議な物質があるのか、私たちと一緒にこれからも探求していきましょう!