みなさんは、化石なのに虹色に光るアンモナイトがあるのを知っていますか?
化石といえば、灰色や茶色の石のようなイメージがあるかもしれません。でも中には、光を当てると青や緑、赤やオレンジにきらめくものがあります。

じつは「光るアンモナイト」にはさまざまなタイプがあり、産地も見た目も、市場での扱われ方もそれぞれ違います。今回は、この不思議な化石の正体を、光る仕組みと一緒にひもといていきましょう。
そもそもアンモナイトってどんな生き物?
まず、アンモナイトについて簡単におさらいします。
アンモナイトは、今から約4億年前から6600万年前まで、地球の海に暮らしていた生き物です。分類としては「頭足類」の仲間で、今のタコやイカ、オウムガイと共通の祖先をもつ仲間です。現在生きている頭足類の中では、オウムガイが比較的近い系統と考えられています。
大きな特徴は、渦巻き状の殻を持っていたことです。殻の中はいくつもの部屋に分かれていて、殻の中の部屋にある液体の量を調節して浮力を変え、海の中を上がったり下がったりしていたと考えられています。
そんなアンモナイトも、恐竜と同じ時期に絶滅してしまいました。今わたしたちが目にするアンモナイトは、すべて地層から掘り出された化石です。

なぜ虹色に光るの?
ふつうのアンモナイト化石は、灰色や黒っぽい色をしています。ではなぜ、一部のアンモナイトだけが虹色に光るのでしょうか。
秘密は、殻の内側にあった真珠層にあります。
生きていたころのアンモナイトは、殻の内側にアラゴナイトという鉱物でできた、とても薄い層を何枚も重ねていました。これは、いまの貝殻の内側でキラキラ光る真珠層と同じ構造です。
化石になる過程で、この薄い層が壊れず、アラゴナイトのまま保存されることがあります。すると、殻の表面に光が当たったとき、薄い層の表と裏で反射した光どうしが重なり合い、特定の色だけが強められて見えるのです。この現象を「薄膜干渉」といいます。シャボン玉や、水たまりに浮かぶ油の膜が虹色に見えたりするのと同じ仕組みです。
じつはこれ、地質学的にはかなり稀な出来事でもあります。ふつう、化石になったあと長い年月のあいだに、アラゴナイトはより安定な方解石へ変化してしまうことがあります。方解石になると薄い層の構造は失われ、虹色も消えてしまいます。虹色に光るアンモナイトは、アラゴナイトのまま何千万年も保存された、地層のなかの偶然が生んだ産物なのです。
遊色アンモナイト
一つ目は「遊色アンモナイト」と呼ばれるものです。多くはアフリカのマダガスカルで採れます。
マダガスカルの地層には、白亜紀のころ広い浅い海に覆われていた地層が残っています。そこに暮らしていたアンモナイトが海底に沈み、石灰岩の層に閉じ込められて化石になったのです。それを掘り出し、研磨した表面が、青や緑、ときにピンクや紫に輝きます。見る角度によって色相が動き、このように見る角度によって色が変化して見える現象を「遊色」と呼びます。名前の由来にもなっています。
遊色アンモナイトのおもしろいところは、模様の出方が個体ごとにまったく違うことです。光る面積、色の強さ、どの色が主役になるか?同じ地層から出ても、まったく同じ表情の化石は二つとありません。光にかざすたびに違った色を見せてくれます。
カナダの限られた地層でしか採れないアンモライト
もう一つは「アンモライト」です。こちらは主にカナダ・アルバータ州の白亜紀末の限られた地層から見つかります。
アンモライトが埋まっているのは、やわらかい泥岩の地層です。掘り出されたアンモライトは、赤・オレンジ・緑・青など、鮮やかな虹色を見せます。色の数や鮮やかさは一つひとつ異なり、美しいものは宝石として加工され、世界中で親しまれています。アンモライトは、化石をもとにした珍しい宝石として知られています。
同じ「光るアンモナイト」でも、マダガスカルの遊色アンモナイトは、自然の姿を楽しむ標本として親しまれることが多く、アンモライトは宝石として利用されることが多いという違いがあります。どちらも、何千万年もの時間を経て生まれた、地球の歴史を伝える特別な贈り物なのです。

光るアンモナイトを、手に取ってみませんか
化石図鑑で写真を眺めるだけでは、光るアンモナイトの本当の美しさは伝わりません。角度を変えて光に当てたとき、殻の表面に虹色が流れるように動く様子は、実物を手にしたときにしか味わえないものです。